テクニカルコラム かんたん♪ZFS
第二回:根久善太(2009年11月18日発行)

  朝晩がずいぶん寒くなってきました♪ 皆様いかがお過ごしでしょうか?

  このコラムでは、皆様がよく使われているファイルシステムと ZFS の
  違いをケーススタディをもとにご紹介していきます。

  今までのファイルシステムとは一味違う ZFS を活用して面倒なファイ
  ル管理の苦労を減らしましょう!

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   Z株式会社は関西に本拠を置く社員三百人のシステムインテグレータ
  です。その情報システム部で社内システムの管理を担当しているAさん
  の日常を見てみましょう。

   社長の湾万に呼び出されたAさん。一つ上の階にある社長室を訪ねま
  した。

  「実は中部にサテライトオフィスを作ろうと思うんだ。名古屋に懇意に
   している開発会社がある。そこのフロアに間借りするつもりだ。ネッ
   トワークなどインフラの方はよろしく」

   Aさんは湾万の意図が分かりませんでした。その様子を見て湾万が言
  いました。

  「うちのビジネスの半分は中部地方のお客様だ。拠点を置いて営業を強
   化したいんだよ。それに常駐している社員も近くに帰る場所があった
   方がいいだろう。月に一回マネージャが給料袋持ってきてくれるだけ
   では心細いもんだよ」

   Aさんも自宅から遠く離れた開発現場に一人で常駐したことがありま
  す。確かに、現場の近くに自社拠点があると心強いかもしれません。

  「それと、ストレージに詳しい人間に来てもらうことにした。あとでそ
   ちらへ行かせるよ」

   さて、新しく拠点を作るといってもどうすれば良いのでしょうか。業
  務用のシステムはネットワーク帯域をそれほど必要としないのでなんと
  かなりそうです。問題はファイルサーバです。開発に使用している様々
  なリソースを本社との間で共有しなければいけません。
   Aさんがパソコンのモニタを眺めながら考えていると、若い男がやっ
  て来ました。

  「Aさんですか?」

   Aさんは顔を上げました。さきほど湾万が言っていた新人でしょうか。
  男は元気な笑顔を返しながら言いました。

  「根久善太 (ねくぜんた) です。よろしくお願いします」

  「ああ……ストレージに詳しいそうだね。社長から聞いただろうけど、
   名古屋にサテライトオフィスを作るんだ。でもファイル共有とバック
   アップが悩みでね。あまりお金もかけられないんだ」

  「じゃあ良い方法を考えてみます。少し時間をいただけますか」

  「それはかまわないけど………何かアイデアがあるのかい」

  「今のストレージシステムに遠隔地とのデータ同期オプションがあると
   思うんです。見積もりを取ってみましょう。予算と合わないようでし
  たら ZFS はどうでしょうか?」

  「ZFS ………聞いたことはあるけど、今のシステムとうまく折り合いを
   つけることができるのかい」

  「大丈夫ですよ」

  「どのくらいお金がかかるんだ?」

  「無償です」

 (つづく)


   物理的に離れたところにあるオフィス間のファイル共有やバックアッ
  プはシステム管理者を悩ませる課題のひとつです。ZFS はメタデータと
  データをスナップショットとして、外部へ送信する機能を持っています。

   またブロックレベルのデータレプリケーションソフトウェアを組み合
  わせることもできます。

   次回以降も、基本的な使い方もまじえつつ、実際の課題に ZFS をのよ
  うに応用することができるのかを紹介していきます。

 (高田 浩生)
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